世界観とユーザー感情設計 - 感情を動かすデザイン戦略
世界観とユーザー感情設計 - 感情を動かすデザイン戦略 -
はじめに
機能だけのツールと、世界観のあるツールの違いは何か。それは「ユーザーの感情を動かせるかどうか」です。Design H/Jack では、ダークポップという世界観を通じて、ユーザーの感情に働きかけ、行動を促し、習慣化させる設計を行いました。
この記事では、世界観がユーザー体験にどう影響するか、そして感情設計の戦略を解説します。
世界観の役割:ユーザーの感情を動かす
なぜ世界観が重要なのか
機能だけのツール:
├── 使えるけど愛着わかない
├── 他と差別化できない
├── 記憶に残らない
└── シェアしたくならない
世界観があるツール:
├── 使うたびにワクワクする
├── 「これじゃなきゃダメ」
├── 強烈に印象に残る
└── 友達に教えたくなる
ユーザーの感情フロー
第一印象 → 共感 → 行動 → 体験 → 習慣化 → 拡散
世界観が働くポイント:
├── かっこいい → 憧れ・ワクワク(第一印象)
├── 挑戦的 → やる気・勇気(共感)
├── 刺激的 → 好奇心・探求心(行動)
├── 親しみやすい → 安心感・帰属意識(体験)
└── 独自性 → 愛着・ロイヤリティ(習慣化・拡散)
ターゲットユーザーの感情ニーズ
18-28歳 デザイン学習者が求めるもの
感情面のニーズ
かっこいい:
デザイナーっぽいツールを使いたい、プロが使う感じに憧れる、持っているだけで嬉しい、友達に自慢したくなる
楽しい:
ワクワクする、使っていて気持ちいい、継続したくなる、ゲーム感覚で学べる
安心:
初心者でも怖くない、失敗しても大丈夫、優しく教えてくれる、批判されない
仲間意識:
一人じゃない、同じ目標の人がいる、孤独じゃない学習、コミュニティに所属している感覚
機能面のニーズ
簡単に使える:
見ればわかる(学習コストゼロ)、説明いらない(慣れているデザイン)、すぐに投稿できる(ストレスフリー)、迷わない(直感的)
効率的:
参考資料をすぐ探せる、カラー・フォントで検索できる、整理・管理が簡単、実務で使える
Design H/Jack の世界観:ダークポップ
コンセプト
ダークポップ = かっこいい × 親しみやすい
サイバーパンク要素(かっこいい):
├── ダーク基調
├── ネオンカラー
├── 未来的
├── プロフェッショナル
└── 挑戦的・前衛的
ネオポップ要素(親しみやすい):
├── ビビッドカラー
├── エネルギッシュ
├── ポジティブ
├── 楽しい
└── 若者向け
= ダークポップ
├── 敷居は低いけどかっこいい
├── プロっぽいけど初心者歓迎
├── クールだけど温かい
└── 刺激的だけど安心
ターゲットへの感情効果
美大生 佐藤あかり(22歳):
- 「かっこいい!」→ 憧れ
- 「デザイナーっぽい」→ 自己肯定感
- 「私も使える」→ 安心
- 「友達に教えよう」→ 拡散
独学デザイナー 田中健太(26歳):
- 「プロっぽい」→ 信頼
- 「仕事で使えそう」→ 実用性
- 「効率的」→ 満足
- 「これなら続けられる」→ 習慣化
初心者 山田ゆい(19歳):
- 「かわいい!」→ ワクワク
- 「楽しそう」→ 好奇心
- 「私でもできそう」→ 自信
- 「仲間がいる」→ 安心
ブランドパーソナリティ:4つの柱
1. 挑戦的
メッセージ:
「その衝動を言葉で刻め」「デザインをハックして攻略する」「一歩を踏み出す勇気を」「君もできる!」
感情効果:
やる気が出る、背中を押してくれる、勇気をもらえる、挑戦したくなる
2. 前衛的
メッセージ:
「新しいデザインを常に学ぶ」「視点を広げる」「固定観念を壊す」「進化し続ける」
感情効果:
刺激を受ける、好奇心が湧く、探求心が生まれる、成長を実感できる
3. 刺激的
メッセージ:
「発見を共有する」「視点を比較する」「気づきを得る」「観察力を磨く」
感情効果:
ワクワクする、楽しい、もっと知りたくなる、継続したくなる
4. 親しみやすい
メッセージ:
「なんか好き」でOK、「初心者でも大丈夫」「一緒に学ぼう」「仲間がいるよ」
感情効果:
安心する、怖くない、失敗してもOK、居心地がいい
デザイン戦略:機能性と世界観のバランス
基本原則
機能性(使いやすさ) × 世界観(感情体験) = 最高のUX
機能性100% / 世界観0% → 便利だけど愛着わかない
機能性0% / 世界観100% → かっこいいけど使いにくい
機能性70% / 世界観30% → 使いやすくて大好き! ✅
媒体別の表現強度
Landing Page(マーケティングサイト)
世界観: 100% フル表現
目的:
- 第一印象で感情を動かす
- 「使いたい!」と思わせる
- ブランドの個性を刻む
- 記憶に残す
デザイン要素:
- Spotify Wrapped風グラデーション
- ダイナミックな図形・アニメーション
- 大胆な配色・タイポグラフィ
- ストーリーテリング
- 数字で見せるインパクト
- SNS映えする構図
期待する感情:
- 「かっこいい!」→ 興奮
- 「楽しそう!」→ ワクワク
- 「これ使いたい」→ 欲求
- 「登録しよう」→ 行動
Web App(日常ツール)
世界観: 30% 控えめアクセント
目的:
- 使いやすさ最優先
- 毎日使うツール
- ストレスフリー
- 世界観は邪魔しない程度
デザイン要素:
- Discord/Notion風レイアウト(慣れている)
- ダークモード基調(ブランドカラー維持)
- ネオンアクセント(世界観の名残)
- シンプルなUI(機能性優先)
- 投稿画像が主役(背景は控えめ)
期待する感情:
- 「使い方わかる」→ 安心
- 「迷わない」→ 快適
- 「でもかっこいい」→ 満足
- 「毎日使いたい」→ 習慣化
カラーパレット:感情を動かす色
テーマカラー: Red(グラフィックデザイン)
Primary: #ff1a1a(ビビッドレッド)
├── 情熱・エネルギー
├── 挑戦・行動
├── 目を引く・インパクト
└── 「やる気」を刺激
Accent: #33ff99(ネオングリーン)
├── 新鮮・成長
├── ポジティブ
├── 未来的
└── 「楽しい」を演出
テーマカラー: Blue(Webデザイン)
Primary: #1738ff(ビビッドブルー)
├── 知性・信頼
├── 論理・分析
├── プロフェッショナル
└── 「できる」を支える
Accent: #39ff14(ネオンイエローグリーン)
├── 活力・希望
├── クリエイティブ
├── 刺激的
└── 「ワクワク」を生む
ハイライトカラー: Yellow
Highlight: #ffe924(ビビッドイエロー)
├── 注目・強調
├── 楽観・喜び
├── 温かさ
└── 「嬉しい」を表現
トーン&マナー:言葉で感情を動かす
キャッチコピー
メインコピー:
「その衝動を言葉で刻め」
- 挑戦的、詩的、心に刺さる、行動を促す
サブコピー:
「街で出会う一枚。ネットに流れる一瞬。その『なんか好き』を残し、言葉に変えるアプリ。」
- 具体的なシーン描写、カジュアルな言葉「なんか好き」、共感しやすい、親しみやすい
タグライン:
「Snap, H/Jack, Create」
- シンプル・リズミカル、3ステップで分かりやすい、英語でクール、覚えやすい
コミュニケーションスタイル
使う言葉:
- 「君」「あなた」(距離感が近い)
- 「一緒に」「仲間」(コミュニティ感)
- 「できる」「挑戦」(ポジティブ)
- 「なんか好き」(カジュアル)
- 「発見」「視点」「言葉で刻む」(ブランド語)
避ける言葉:
- 「初心者向け」(見下す感じ)
- 「簡単」(安っぽい)
- 「プロ」「上級者」(敷居が高い)
- 難しい専門用語(とっつきにくい)
- ネガティブな表現
ユーザー体験シミュレーション
パターン1: 初めての訪問
Landing Page到着
↓
Hero Sectionを見る
「かっこいい!」「楽しそう!」
(世界観に惹きつけられる)
↓
Problem Sectionを読む
「あるある!」「私もそう!」
(共感・自分ごと化)
↓
Solution Sectionを見る
「これならできそう」「やってみたい」
(行動意欲が湧く)
↓
CTA「無料で始める」をクリック
(世界観+共感+期待 = 行動)
パターン2: アプリ使用開始
初回ログイン
↓
ダッシュボードを見る
「使い方わかる」「Discordみたい」
(慣れているデザイン = 安心)
↓
初投稿
「簡単!」「楽しい!」
(ストレスフリー = 満足)
↓
他の人の投稿を見る
「こんな視点が!」「勉強になる!」
(発見・刺激 = ワクワク)
↓
コメントをもらう
「嬉しい!」「認められた!」
(承認・帰属意識 = 居心地いい)
↓
毎日使う
(機能性+世界観+コミュニティ = 習慣化)
パターン3: 友達に紹介
使い続けて1ヶ月
↓
成長を実感
「言語化できるようになった!」
「視点が増えた!」
(達成感・自己肯定感)
↓
友達に会話
「最近このアプリ使ってるんだ」
「めっちゃかっこよくて楽しいよ」
(自慢したくなる = ブランドロイヤリティ)
↓
友達も登録
「ほんとだ、かっこいい!」
(世界観が拡散の原動力)
まとめ:世界観がユーザー体験を作る
世界観の働き
感情を動かす:
├── かっこいい → 憧れ・ワクワク
├── 挑戦的 → やる気・勇気
├── 刺激的 → 好奇心・探求心
└── 親しみやすい → 安心・帰属意識
行動を促す:
├── 使いたい → 登録
├── 投稿したい → 参加
├── 続けたい → 習慣化
└── 教えたい → 拡散
ブランドを作る:
├── 記憶に残る
├── 愛着が湧く
├── 他と差別化
└── ロイヤリティ構築
最終的なバランス
Design H/Jack = 機能性70% × 世界観30%
機能性:
├── よく使われているデザイン
├── 学習コストゼロ
├── 直感的・ストレスフリー
└── 毎日使いやすい
世界観:
├── ダークポップの配色
├── ネオンアクセント
├── 挑戦的なトーン
└── ブランドの個性
= 使いやすいけど唯一無二
= 親しみやすいけど忘れられない
= 機能的だけど愛される
世界観こそが、ユーザーの感情を動かし、Design H/Jack を特別なアプリにする。
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